史上初の2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭が、智弁和歌山との接戦を制してベスト16進出を決めた。先発のエース右腕、徳山壮磨投手(3年)が12安打を浴びながら1失点。要所で踏ん張る127球完投で、決定打を許さなかった。明日19日予定の3回戦は、この日1-0で日本文理(新潟)を破った甲子園出場26回の名門、仙台育英(宮城)が相手。あと4勝の連覇へ、強豪との対決が続く。

 徳山は最後の打者を遊ゴロ併殺に打ち取ると、胸元でガッツポーズした。「併殺は狙っていました」。9回。リードは1点。強打の智弁和歌山相手に1死一、二塁の大ピンチ。それでも集中力はマックスで、狙い通りに打ち取った。12安打を浴びながらも要所で踏ん張った。127球1失点完投だ。

 打線は初回に1点を先制したが、相手投手陣を攻めあぐね、4回に追いつかれた。試合展開は、エースに忍耐を求めた。「1人1人気が抜けない相手。僅差のゲームをしっかり守り抜けた」。何度も得点圏に走者を背負ったが、失点は許さなかった。西谷浩一監督(47)も「向こうに1本出ていたら負けている。勝てたのはうれしい」。7回の攻撃は先頭泉口の二塁打から徳山の犠打で三塁に進み、暴投で決勝点。徳山の粘りが、苦しんだ打線を助けた。

 小学生時代はソフトボールに打ち込み、硬式野球を始めたのは中学で兵庫夢前クラブに所属してから。1年生の時、チームメートに宣言した。「大阪桐蔭に行きたい」。周囲は「無理や」と一蹴したが、本気だった。走り込みなど厳しい練習を続け、中学入学時に120キロ台だった球速は中3で136キロにアップ、158センチだった身長も180センチまで伸びた。中学卒業後は有言実行で大阪桐蔭のエースに成長、センバツは5戦5勝で優勝に導いた。7回1失点に抑えた米子松蔭戦(鳥取)に続き、甲子園7連勝だ。

 柔らかく、故障しにくい体で、今夏の大阪大会前の練習でも存分に追い込むことができた。その姿は12年に春夏連覇した当時のエース・藤浪(阪神)も同じだった。「(藤浪さんは)1人で投げ抜いてすごいと思う。ちょっとでも近づきたい」。憧れの先輩にまた1歩近づいた。【磯綾乃】