プロ注目の東海大相模(推薦)の森下翔太外野手(3年)が、花咲徳栄(埼玉2位)戦で高校通算47本目となるサヨナラ本塁打を放ち、8強に進出した。横浜(神奈川1位)はエース板川佳矢投手(3年)が、9回1失点完投で明秀学園日立(茨城2位)に逆転勝ち。習志野(千葉2位)はプロ注目の古谷拓郎投手(3年)が好救援し、作新学院(栃木1位)に快勝した。今日21日は準々決勝4試合が行われる。

 アーチストの本能が、ここぞで目覚めた。4点差を追いつかれた直後の9回2死、東海大相模・森下はスライダーに反応した。直前の外角直球を見逃し、カウントは2-2。凡退した3打席は変化球を有効に使われた反省から、スライダーに比重を置いた中で「打った瞬間、手応えを感じた」劇的な1発を左中間席に突き刺した。

 センバツの悪夢を払拭(ふっしょく)した。甲子園では準決勝の智弁和歌山戦で最大5点リードも、逆転負け。森下自身も打率2割6分7厘、2打点で主砲の役割を果たせず、甲子園を去った。この日は4点リードの9回、先頭に出塁され「試合が動く」と想定。同点に追いつかれたが、高校通算47号のサヨナラ弾で試合を決めた。

 悔しさを成長へと変えた。3月の練習試合で放った46号からノーアーチが続いたが、森下は「心が折れたら、技術も向上しません。どんどん上を見れば成長できますし、ひた向きに取り組んだ」と“不動心”を貫いた。肉体面でも例年以上に体幹を強化。打撃フォームも“不動”を目指した。「大事なところで1本打つのがテーマだったので、次につながる1本です」。長かったトンネルの先に、光が見えた。【久保賢吾】

 ◆森下翔太(もりした・しょうた)2000年(平12)8月14日、神奈川県生まれ。小学1年から野球を始め、日限山中時代は戸塚シニアに所属した。東海大相模では1年夏から背番号8、中堅手でレギュラー。180センチ、77キロ。右投げ右打ち。