春季高校野球東北大会(6月7日から5日間、青森市営野球場ほか)の組み合わせ抽選会が30日、青森市内で行われた。17年ぶり出場の弘前工(青森3位)は、利府(宮城3位)と開幕戦が決定。地元での初戦突破で勢いをつけ、昨秋東北王者の聖光学院(福島1位)から収穫を得ることを目標に掲げた。

 グラウンドから眺める岩木山のように、大きく成長する東北大会にする。弘前工は地元開催で、開会式直後に登場。4番を務める主将の阿保颯真内野手(3年)は「夏に向けて収穫を得たい。そのためには何としてでも1回戦に勝って聖光学院とやりたい。個人としても良い投手からチャンスで1本打てれば自信になると思う」。1試合でも多く強豪との対戦を増やすために一致団結するつもりだ。

 昨夏は県1回戦で敗れ、昨秋も2回戦敗退。接戦を落とした悔しさも糧となっている。今春の県大会では三沢との2回戦では追いつかれる展開から勝ち越し。大湊との準々決勝ではサヨナラ勝ち。「自分のことだけでなく、全員がチームのことを考えられるようになった成果」と胸を張った。

 主将の提案で昨秋から掲げた「自己犠牲」のスローガンがきっかけだった。「誰かがやるだろう」という意識が多かった上級生が、グラウンド整備や道具運びなどを率先。逃げがちだった走りのメニューもお互いが声をかけあって実行。校内の階段上りや雪中ランニング。1日1000スイングも欠かさなかった。主将が「とにかく送ってつなぎ、走者をかえして勝ちたい。それが自分たちのスタイル」と言えば、3番の内山功裕内野手(2年)も「17年間出ていなかった春の東北。地元の方やチームのおかげで出場できるので喜ばせたい」と闘志を燃やした。

 壁にぶち当たったり、悩んだ時には、岩木山のふもとにある岩木山神社にお参りすることが恒例だ。往復約25キロを走って。だが、昨秋を最後に、今年は1度もない。同校で甲子園出場経験のある滝渕安弘監督(50)は「お参りしなくても良いということは、良い方向に向いているのかな。やっぱり甲子園を経験させてあげたいよね」。次は、笑顔で勝利の参拝ランとするつもりだ。【鎌田直秀】