明日2日に開幕する春季北信越高校野球大会(石川)で14年以来の優勝を狙う日本文理(新潟)は、佐藤旭捕手(3年)がゲームをコントロールする。エース右腕・鈴木裕太投手(3年)と左腕・新谷晴投手(同)の左右の県内ナンバー“腕”投手を巧みな配球でリードする。「2人とも北信越で負ける投手ではない」と任された重要な位置に身を引き締めていた。

 ミットを構える佐藤に、エース鈴木がアドバイスを求めた。直球と変化球の投球時のフォームが、同じ投げ方になっているかどうかを問いかけた。ブルペンの投球練習はコミュニケーションが密だ。鈴木崇監督(37)は「試合になれば捕手が指揮官。頼られる捕手を目指せ」と厳命しているが、背番号2は少しずつ目標に近づいていた。

 昨秋は背番号12で初めて登録メンバーに入った。関根学園との県大会1回戦と、高田北城との準々決勝でマスクをかぶり、北越との準決勝では一塁手として先発もした。正捕手の坂井元気(3年)が、2月に右第1肋骨(ろっこつ)を骨折して、背番号2が回ってきた。「夏は実力で取る」。佐藤にとって優勝を狙う北信越大会は正捕手の座を確実にする戦いともなる。

 日本文理の投手陣は強力だ。最速150キロ右腕鈴木と、切れ味鋭い変化球が持ち味の左腕新谷がしのぎを削っている。タイプの違う2投手の良さを引き出す役目を担うのが佐藤だ。「鈴木の直球は、分かっていてもバットに当たらない。変化球を交ぜながら直球で押す。新谷は変化球でカウントを整えて直球勝負」。打者の見送り方、振りをチェックし配球に変化も加える。春県大会6試合のチーム防御率は1・23と好リードが光った。「打者を抑えれば投手は乗る」。

 モットーは「我以外皆我師(われいがいみなわがし)」。元プロ野球捕手の野村克也氏(82)谷繁元信氏(47)を師に見立てて著書を読んだが「配球に“当たり”はない」と言う。日本文理の捕手は3年生3人、2年生3人、1年生5人。正位置を巡ってポジション争いは激しい。「2番をつけているからには見習われる立場にならなければいけない」。佐藤は北信越で役割を果たしてその立場を確立させる。【涌井幹雄】

 ◆佐藤旭(さとう・あさひ)2001年(平13)2月11日、見附市生まれ。野球を始めたのは見附小時代の「青空スポ少」。見附西中時代は、三条シニアに所属。登録メンバー入りは昨秋から。打順は9番。右投げ右打ち。184センチ、84キロ。血液型O。