摂津が17年センバツ準優勝の履正社を、あと1歩まで追いつめた。サヨナラ負けとなったが、終盤に2度同点に追いつき、球場の観客を何度も沸かせた。

 3-0で迎えた7回、先発の清水をとらえて一挙3得点で同点に。その裏すぐに2点を奪われたが、直後の8回、2番手の位田から4連打でまたも同点に追いついた。最後は9回無死二、三塁からサヨナラ打を浴びたが、主将の青木那央外野手(3年)は「全員が一丸となった出来た試合かなと思います」と胸を張った。

 青木自身も見せ場を作った。5-5に追いついた直後の8回2死二塁、右前に落ちた打球を強肩で素早くバックホーム。「取って投げる体勢になった時に走者が見えて、(ワンバウンドではなく)1人でしか刺せないと思いました」と矢のような返球で刺すと、自然とガッツポーズが出た。実は青木はルーズショルダーのため、冬場は痛みが出てなかなか送球の練習ができない。それでも痛みの出ない暖かい時期には、1人で本塁まで送球する練習を続けてきた。その成果がここ一番で出た。

 高校入学時は野球を続けるつもりはなく、テニス部に入ろうかな、と考えたほど。それでも「仮入部だけ」と入ってみると、同級生の強い誘いもあり気持ちが動いた。「野球を12年間やっていて、一番誇りに思える試合」。最後の夏に最高の試合が出来た。