福島商は6-2で湯本を振り切り、前回甲子園出場の2000年(平12)以来18年ぶり19度目の決勝進出を決めた。初回表、この日18歳の誕生日を迎えた2番・武藤球太内野手(3年)の左越えバースデー三塁打で先制。2投手の継投で逃げ切り、通算9度目の夏の甲子園出場に王手をかけた。

 福島商の三塁側応援席が初回から祝賀ムードに包まれた。先頭打者の関根起(かなめ)内野手(3年)が左越え二塁打で出塁。続いて武藤が打席に立つと、「ハッピー・バースデー」の大合唱が起こる。この日18歳になったばかり。左打席から、自身の誕生日を祝う先制三塁打を放った武藤は「大勢に歌ってもらい力になりました。体が反応して外のコースを逆らわずに打てた。期待に応えられて良かった」と流し打ちの練習の成果を強調した。

 湯本とは春の県大会準々決勝で対戦。タイブレークの延長13回、自らのバットでサヨナラ勝ちした。武藤は「たまたまです。でも関根と2人で点を取ることを目標にしていたのでうれしい」と、再び「湯本キラー」ぶりを発揮した。

 父堅二さん(46)は川俣OBで投手だった。その父から「球太」と命名された。同じ高校球児だった父の夢も背負う18歳が、生まれた年以来になるチームの甲子園出場に王手をかけた。今日22日の決勝の相手は大会12連覇を狙う聖光学院だ。5年ぶり3度目の夏対決になる。昨秋の県準々決勝は0-10のコールド負け。今春の県決勝も3-18の大差で敗れている。選手たちは同じ県北地区の「打倒、聖光」を目標に練習してきた。渡辺真也監督(53)は「あと1つ勝たなければならない。すべてはここ(決勝)に来るためにやってきた。悔しさを含めてぶつけたい」と力を込める。

 創部97年目。夏出場89年目で県内最多の通算247勝79敗1分けの伝統を背負う。武藤は「接戦に持ち込んで最後に1点でも多く取って勝ちたい」。この日2安打1打点と活躍した4番・阿蘇航新主将(3年)も「歴史を変えたい」と聖光学院にガチンコ勝負を仕掛ける。【佐々木雄高】