決勝は新発田と中越の対戦になった。中越は新潟産大付に3-2の逆転勝ち。2-2の6回2死一、二塁で広瀬航大二塁手(1年)が勝ち越しの右翼線二塁打を放ち、2年ぶり11度目の甲子園にあと1勝に迫った。決勝は今日24日、午後1時からハードオフ新潟で行われる。

 中越を決勝進出に導いたのは、1年生のバットだった。0-2で迎えた6回。2-2に追いついた後の2死一、二塁のシーン。広瀬が打席に立った。「もう1点欲しい場面。集中して入れた」。カウント1-1から、待っていた内角の直球がきた。狙い球をフルスイング。右翼への勝ち越し適時二塁打。逆転勝ちの主役になった。「プレッシャーは感じない。1年生だから元気よく、気持ちで負けない」。1年生4人を含む新潟産大付の若い勢いを、中越の1年生が止めた。

 本田仁哉監督(41)は言う。「勝ち上がっていくには下級生の勢い、ラッキーボーイ的な力が必要になる。広瀬は今、大きな存在になっている」。この夏初めてベンチ入りした広瀬は、いきなり背番号4をもらった。3年生レギュラーの中でただ1人の1年生だ。「背番号4をもらったときはやらなければ、という責任感を感じた」。部員94人の思いを背負う覚悟を決めていたが、準決勝でその一端を示した。

 「コースに逆らわず、低い打球をシャープに打つ」と広瀬をスタメンに抜てきした本田監督は、1年生の技術の高さを証明しながら、こう続けた。「気持ちが前向き。積極的。吸収も早く、入学して1カ月足らずで3年生の中になじんでいた」。そんな広瀬が目指しているのは、甲子園の勝利。「新潟大会は目標への延長線上にある大会。地に足をつけて、決勝も戦いたい」。頼もしい限りの1年生だった。【涌井幹雄】