決勝は新発田と中越の対戦になった。新発田は、富山との北陸大会で代表を決めていた1965年(昭40)以来53年ぶりの決勝進出で、初優勝に王手をかけた。2回裏1死二、三塁から7番金子光遵(3年)が先制スクイズ。6回裏には中押しの中前適時打を放つなど、ラッキーボーイになった。決勝は今日24日、午後1時からハードオフ新潟で行われる。

 ヘッドスライディングをした金子は、ほこりまみれになりながら笑顔で起き上がった。6回裏1死二塁、二塁走者の金子が三盗を仕掛ける。三塁手が後逸する間にチーム5点目の生還。完全に主導権を握った1点だった。

 「二塁手も遊撃手も寄ってこなかったので狙った」という初球の三盗。思いきりのいいプレーの伏線は複数あった。3-2で迎えたこの回、1死二塁で打席に入ると、中前適時打で中押しした。その直後にボークで進塁。そこで盗塁を仕掛けた。

 2回裏の先制点も金子だった。1死二、三塁から三塁前にスクイズを決め、自らも敵失で生きる。「打席に入る前に監督(菅勝=44)から『やるぞ』と指示があった。やるなら初球だと思った」。初球、サイン通りに任務を遂行した。

 一塁手の守備では、4回表の十日町の攻撃で、遊ゴロの送球を受ける際、塁から足が離れた(記録は遊失)。そこから2点を返された。「自分のミスで取られたので取り返したかった」。6回の適時打、盗塁は名誉挽回の意地だった。

 流れを引き寄せる中心にいた金子を、菅監督は「観察の力が高いし、集中力もある」と評価。十日町は中町智洋(3年)長井悠太(3年)の左腕の継投。金子は左打者だが、左は苦にしない。中町からスクイズ、長井から適時打。「いつも通りに打てた」と要所を押さえた。

 この日、新発田は全校応援。三塁側に陣取った約800人の声援を受け、ナインは躍動。決勝の扉を53年ぶりに開けた。「ここまで来たらやるしかない」。金子は初の甲子園に表情を引き締めた。【斎藤慎一郎】