2戦連続でサヨナラ本塁打を放った羽黒が鶴岡東を5-4で下し、15年ぶり2度目の甲子園を決めた。延長11回無死、4番竹内大貴内野手(3年)がサヨナラ右越え本塁打を放って劇的に決めた。3年前の決勝で降雨ノーゲームの再試合の末に敗れた鶴岡東にリベンジ。当時の課題だった投手陣を手厚く整備し、破壊力のある打撃陣がかみ合ってつかんだ優勝だった。

 バットを振り抜いた瞬間、優勝が決まった。延長11回先頭。4番竹内はカウント2-0の3球目、真ん中低めの直球を豪快にしばき上げた。

 「2ボールだったので、カウントを取りにくると思っていた。1発で決めてやろうと。弾道が低かったけど入ると思った」

 悠々と一塁を回ると右手でガッツポーズ。本塁には喜びを爆発させた仲間たちが待っていた。生還直後に相手ベンチから一塁空過のアピールがあったが「踏んでいたので、自信があった」と動じることなく、優勝の喜びを分かち合った。

 3年前の決勝敗退を教訓にしてつかんだ栄冠だ。15年夏の決勝は降雨ノーゲーム再試合の末、連投続きのエースを先発させて鶴岡東に2-13で大敗した。慶大野球部OBの小泉泰典監督(33)は「複数の投手を擁し、ウチらしく勝つ」と、エース依存型からの脱却を宣言。タイプの違う3投手を鍛えて、第100回の夏に臨んでいた。

 先発右腕のエース佐藤幸弥(3年)は初回に最速を2キロ更新する148キロをたたき出した。「後ろにもいい投手がいるので、初回から全力で腕が振れた」と4回1/3で3安打6奪三振と勢いを付けた。2番手で登板した右腕・篠田怜汰(2年)は5回のピンチで登板し適時打を許すも、最後まで投げきった。9回には最速を4キロ更新する145キロをマーク。「延長に入ってからの円陣で、竹内さんが一振りで決めてやるって言ってくれていた」と胸を張った。

 準決勝に先発した左腕・金子摩周(3年)を加えた待望の3本柱が完成した。小泉監督は「タイプの違う佐藤と金子を先発にし、制球力がある篠田を抑えに考えていた」と構想を明かし、篠田の力投には「今日の投球は期待していたけど、びっくりです」と絶賛した。準決勝から2試合連続で延長サヨナラ弾を放った強力打撃陣に加え、万全投手陣がかみ合った。巧みなリードで3投手の持ち味を引き出す主将の秋保優大捕手(3年)は「3人もいて頼もしい。自分がしっかりリードすれば勝てる。甲子園でも一戦必勝。粘り強くまず1勝」と宣言。投打に充実した羽黒が、第100回の夏に羽ばたく。【高橋洋平】

 ◆羽黒 1962年(昭37)に羽黒工として創立の私立校。89年に羽黒と改称。生徒数842人(女子400人)。野球部は63年に創部。部員数は72人、マネジャー5人。甲子園出場は春1度、夏2度目。主なOBは巨人田中優大投手。所在地は鶴岡市羽黒町手向字薬師沢198。牧静雄校長。

◆Vへの足跡◆   

2回戦5―0米沢中央

3回戦9―0米沢工

準々決勝5―3酒田光陵

準決勝5―4酒田南

決勝5―4鶴岡東