慶応(北神奈川)が、今大会初のサヨナラ勝ちで初戦を突破した。

 2-2のまま迎えた9回2死一、二塁、宮尾がカウント3-1から狙っていた直球を中前にはじき返し、二塁走者が生還。ベンチから飛び出してきたチームメートと抱き合った。「絶対に決めてやろうという強い気持ちだった。諦めないでやったことが、結果につながった」と笑みを浮かべた。

 リベンジを果たした。森林貴彦監督(45)が掲げた1回戦のテーマは「捲土(けんど)重来」。今春センバツの初戦、彦根東に3-4で敗れた悔しさを、見事に晴らした。センバツではチャンスで1本が出なかったが、今大会は結果を残した。打撃に苦しんだ時、アドバイスをくれたのは早大で元巨人の仁志敏久氏らとともにプレーした父毅さんだった。幼い頃には守備の基本もたたき込まれ「感謝の気持ちを伝えたい。でも、まだまだ試合が続くので」と先を見据えた。

 前回甲子園に出場した10年前は、8強入り。当時小学生だった宮尾は、北神奈川大会の決勝戦慶応-東海大相模を横浜スタジアムのスタンドで観戦。「憧れた」と法政二中からの進学を考えるきっかけとなった。今大会前には、You Tubeで当時の先輩の試合を見て、気持ちを高めてきた。

 県大会では東海大相模、桐光学園など強豪を倒し、勢いのまま甲子園も駆け上がる。最長ブランクとなる102年ぶりの優勝に向け「目指すのは日本一です。伝統があるチームなので、慶応の名に恥じないように戦って、歴史に名を刻みたい」と宣言した。【保坂恭子】

 ◆慶応の1916年(大5)夏 慶応普通部として初出場し、初優勝した。大会(当時は全国中等学校優勝野球大会)は豊中グラウンドで出場12校により行われ、慶応普通部は決勝で市岡中を6-2で下した。主戦投手の山口昇は慶大のレギュラーを兼ねていたが、当時は出場できた。打線は米国籍のジョン・ダン一塁手が2番を打った。