スーパー1年生がひのき舞台で輝いた。3回に高知商・藤高祐一郎外野手(3年)が放った大会1号は、ほんの序章だった。逆転につぐ逆転。両チーム合わせて4本塁打を含む30安打26得点の乱打戦にけりをつけたのは、1年生レギュラー西村貫輔内野手のバットだった。

 7回、同点に追いついて迎えた1死満塁。「俺が決める。最初から思い切って振りにいきました」。気合満点で打席に入った西村は、初球の変化球に食らいついた。打球が左前に弾むと、2者が生還。高知商にとっては3度目の逆転劇で、これが決勝点となった。西村は3打数3安打2四球で、5打席すべて出塁と大暴れ。初の甲子園で、いきなりお立ち台に上がった西村は「一番活躍したんだなって実感できます。注目されるの大好きです」と満面の笑みだ。

 憧れの選手はヤクルト山田哲。「中2の時に、トリプルスリーを見て、スイング速いし、足も速い」と山田哲のフォームを参考にティー打撃を行う。「おかげで下半身が強化されて、軸がぶれなくなりました」。ものまねが功を奏し、高知大会では打率4割と結果を出した。

 チーム全体では16安打14点。強打の秘密は高知大会決勝の明徳義塾戦にもある。明徳義塾のエース市川悠太投手(3年)は150キロ近い速球を持つドラフト候補。強敵を打ち崩すために、打撃練習ではマシンを160キロに設定して打ち込んだ。その効果で決勝は10得点で圧勝。明徳義塾の高知大会9連覇を阻止している。上田修身監督(56)は「攻撃は磨いてきた。逆転されても絶対いけると思っていた」と打ち負けない自信を語った。

 野球部創部100年の高知商は、この勝利で春夏甲子園60勝目。12年ぶりに聖地に帰ってきた古豪が、100回記念大会の頂点を目指す。【鶴屋健太】

 ◆西村貫輔(にしむら・かんすけ)2002年(平14)8月9日生まれ。高知県出身。小学2年から大津ジュニアーズに所属。大津中では南国マリナーズで遊撃手としてプレーし、中学3年時にジャイアンツカップで8強。50メートル6秒6。遠投83メートル。165センチ、65キロ。右投げ右打ち。