木更津総合(東千葉)・東は5回表1死、打席で応援歌「グリーングリーン」を口ずさんだ。「応援歌が聞こえる時は調子がいい」。バットを指3本分短く持ち、内角低めの真っすぐをコンパクトに強振。左翼席へアーチをかけた。「初めて大歓声を浴びて、うれしかった」と喜びを爆発させた。

 その裏には守備でも見せた。2死二塁からの中前打を「肩が弱いから」と1歩前に守備位置を取り、本塁への好返球で刺した。五島監督から「守り勝ち」と称賛されるプレーになった。

 昨夏の甲子園、日本航空石川戦で代打で空振り三振。最後の打者となり号泣した。翌日、帽子のつばに「フルスイング」と書き、バットのグリップにはこの時の背番号17のシールを貼った。悔しさを心に刻み、冬は走り込みと振り込みを徹底。この日「昨年の借りを返せた」と胸を張った。

 試合前には五島監督の育成功労賞の表彰が行われ、「勝利をプレゼントできてよかった」と喜んだ。チームの目標「100回大会出場」「甲子園で監督に10勝をプレゼント」。そして「五島監督の表彰を全員で見届ける」。そのすべてを達成した。選手たちは言う「偶然じゃない。何かある」。それはVへの予感かもしれない。【保坂淑子】