第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に出場する盛岡大付(岩手)が、練習試合で徳山商工(山口)に5-4で辛勝した。打線は7安打と振るわなかったものの、右打者トリオで計5安打の固め打ち。小川健成外野手(3年)は6回、決勝点となる左越えソロ本塁打を放った。予想スタメンに6人の左打者が並ぶ打線にあって、貴重な右打者が存在感を光らせた。

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自慢の腕力で、差し込まれた直球を押し返した。第1打席で左前打の6番小川は1点リードの6回無死、内角高めを強振。放物線は両翼100メートルの左翼フェンスを越えた。「結構、詰まりました」と感触は悪かったが、「体重が増え(7キロ)、トレーニングで体を大きくしたから」と一冬の成果を実感。日課のベンチプレスはチーム2位の115キロを持ち上げるパワーで運んだ。チームは9日の練習試合解禁から6戦で7発目だが、右打者では1号だ。

8番島上真綾捕手(3年)は復調した。2回に先制の中前適時打、4回にも中前打が続いた。九州遠征の5試合で安打は1本のみで、「焦りがありましたが、1本出てホッとしました」。昨秋の公式戦打率4割6分7厘はチーム一。「恐怖の8番」にも当たりが戻った。右足首捻挫で別メニューの岡田光輝外野手に代わって2番に入った松原瑠来外野手(ともに3年)も、4打席で二塁打含む2出塁。一方、5人の左打者は4番平賀佑東外野手(3年)の2安打のみに終わった。

ベンチ18人で右の野手は6人だけ。希少だけに、重要性は増す。関口清治監督(41)は「甲子園では意外と6、7番にチャンスがくる。左投手なら配置も考えないといけない」とし、「小川は地区予選で4番、県大会で2番、東北大会は6番。どこを任せても大丈夫ですが、大事なところに置きたい」と話した。今日17日からは、この5年で甲子園出場歴のある強豪ばかりとの8連戦が始まる。関口監督は「甲子園で戦ったときに、練習試合の相手の方がレベルが高いと思えるように」と、本番への総仕上げに臨む。【中島正好】