高校野球は今夏の地方大会から「サイン盗み」を、さらに厳しく規制することになった。

日本高野連は今月初め、47都道府県の高野連に「周知徹底事項」を送付。毎年、大会前に行っているものだが、今回は「マナーの向上について」の項目で、より厳しくサイン伝達に関する禁止事項を挙げている。

まず、走者やベースコーチが相手捕手のサインを見て、味方打者に伝達することを禁じている。これは従来どおりだが、今回から、さらに走者やベースコーチがサインを見ること自体を禁止とした。また、打者が相手投手の球種を味方ベンチに伝えることも禁止とした。これは、打席からベンチにジェスチャーなどで伝えることを禁じるもので、たとえば凡退後に「最後の球はスライダーだった」などと伝えることを禁じるものではない。

群馬大会の抽選会が14日、前橋のベイシア文化ホールで開催された。予備抽選が始まる前に、城田雅人県高野連理事長(54)がサイン盗みに関する禁止事項を各校の主将に説明。「負けて悔いなし、は難しいかも知れませんが、お互いフェアプレーでいきましょう。他の皆さんにも伝えて下さい」と、チーム内で共有するよう呼び掛けた。

今春センバツ甲子園大会では、サイン盗みを行っている疑惑が表面化した。高校野球は、走者やコーチによる味方打者への「サイン伝達」を禁じてきたが、「サインを見ること」すら禁じることになった。城田理事長は「そこまでの意識を持ってやろうということだと思います。二塁ランナーは、自然と相手捕手のサインが見えることはあります。ただ、打者にサインを伝えることを前提に見るのはやめましょう、ということ」と説明した。

これまで同様、罰則規定は設けていない。実際の運用面を考えた場合、二塁走者が捕手のサインを見たかどうかを、審判団が判断することは不可能と言っていい。ただ、走者が捕手のミットの位置や指の動きを凝視する行為、またベースコーチが身を乗り出して捕手のサインをのぞきこむ行為などは、注意されるだろう。