元マネジャー右腕がピンチを切り抜けた。多摩工の井上孔貴投手(3年)が4回途中から登板し、福生を1回1/3無失点に抑えた。

中学までは外野手。高校入学を機にマネジャーに転向した。野球をやりたい気持ちはあったが「小中とやってきて、技術が伸びなかった。選手ではチームの足を引っ張る」と裏方にまわった。経験を生かし、ゲームノックでランナー役を務めるなど、チームのサポートに徹した。

しかし、2年春の大会後、もともと11人いた同学年が8人に減少し「もっとチームの力になりたい」と感じた。その気持ちを後押ししたのが、茅郁也監督(29)の「野球やらないともったいないぞ。もう1度やってみないか」という言葉だった。未経験だった投手として、サイドスローを練習。変化球を駆使するスタイルを磨き上げた。

この日、4回2死満塁の場面で登板し、三邪飛で切り抜けた。「流れを生むことができた」と反撃の流れを呼び、裏の攻撃で2点を挙げた。

チームは敗れたが、3年間に後悔はない。「小さい頃から人を守る仕事をしたかった」と、将来の夢は警備員。高校生活同様、これからもみんなの役に立ち続ける。【飯岡大暉】