<高校野球広島大会:開会式>◇12日◇マツダスタジアム

12日の広島大会の開会式で、ベンチ外のメンバーも含めた3年生全員の入場行進が行われた。昨夏に企画されたが、18年7月に起こった西日本豪雨により、行進は中止となった。

この日、出場校のトップを切ったのは舟入・中野捺海(なつみ)さん(3年)。同校唯一の女子部員だ。「公式戦は女子は出られないので、こういう機会があって他の選手と同じように歩けてうれしいです」。1人でも堂々と背筋を伸ばし、全校の先導役を務めた。

1歳下の双子の弟たちが野球を始め、試合に訪れるようになり「活躍したいなと思った」と小学5年の時に野球を始めた。高校野球を続ける道を選んだのは、テレビで片岡安祐美(茨城ゴールデンゴールズ監督)を見たことがきっかけ。舟入には4年前にも女子部員がいたことを聞いていた。

冬のランニングメニューやベンチプレス。小学生の頃とは違い、男子部員との差を痛感した。「体力とか筋力の差があって、みんなに迷惑をかけました」。週に1回のオフも欠かさず自主トレを続け、広島商に通う2人の弟とも一緒に練習することもある。

練習試合では主に右翼で出場した。適時打を打ってベンチの仲間たちがガッツポーズする瞬間は、格別だ。「みんな同じ目標を目指して、ベンチに入っていない人の分まで苦しくても頑張っている」。将来の夢は体育教師。大好きな野球を教えることも目標の1つだ。【磯綾乃】