今春のセンバツに出場した呉が、苦しみながら初戦を突破した。

エース自らの手で試合に終止符を打った。0-0の膠着(こうちゃく)状態で迎えた延長12回、5番沼田仁投手(3年)が左翼席にサヨナラソロを放り込んだ。

辛勝発進に中村信彦監督(65)は試合後、ロッカールームで大激怒。廊下に漏れる大きな声でナインにゲキを飛ばした。「偏差値が低い。野球の偏差値20くらいなんじゃないですか(笑)」と独特の表現。「あれだけ打てなかったら勝負にならない」。打線は相手投手を打ちあぐね、フライアウトを重ねた。「うちの選手はワンパターン。工夫がない。厳しいとこ(コース)に来ても内野ゴロ打てば点が入る、流れも変わる。そこの偏差値を上げて欲しいです」と嘆いた。

今春はセンバツに出場し、初戦で市和歌山に延長11回で敗れた。同様の展開となり「(センバツは)失策で負けて、つまらないミスをしないようにしようと言ってきたので、(延長で)点を取られなかったんだと思います」。一人で投げ抜き、投打で活躍した沼田仁には「よく0で抑えたと思います」と奮闘をねぎらった。

沼田仁は試合を決めた1振りに「塁にチャンスを広げる気持ちで打った。1勝できてほっとしてます」と振り返った。