開幕戦をサヨナラ勝ちから勢いに乗っていた志木(埼玉)が、Dシードの市川越に敗れた。

「もどかしさしかなかったです」。8回から登板し、クリーンアップを6球で抑えた背番号1の安藤大斗投手(3年)は高校1年の6月、尿検査で尿タンパクの数値が高く「慢性腎炎」と診断された。

腎機能が低下する病気で「医者に野球をあきらめなさいといわれました」。激しい運動、特に長距離のランニングが禁止された。野球を続けさせてもらえるように病院を探した。

自分の感覚では何も悪いところはない。それなのに運動ができない。投手というポジションにもかかわらず走り込みができない。

1年の8、9月は完全に休養。10月ころから医師の指示で制限をかけながら練習に参加し始めた。毎月検査をしながら、徐々に制限を解いてきた。

走り込みができない分、筋力トレーニングに力を入れ、ベンチプレスはチーム1。努力が実り今大会はエースナンバーを獲得した。

開幕戦は5回無死満塁のピンチから好リリーフ。2回戦でも9回1死一、二塁で一打サヨナラの大ピンチから登板し、しのぎきった。

初先発となった3回戦では7回1失点と好投し、ロースコアで勝ち上がってきたチームで確かな存在感を示した。「厳しい場面で抑えられて、エースらしい仕事ができたかな」と涙ながらに振り返った。「野球をやめようと思ったこともありました。続けてきてよかった。親や部員の仲間に感謝です。最高の3年間でした」と最後はやりきった表情をみせた。【佐藤成】