県内屈指の進学校となる湘南が、3年ぶりの5回戦進出を決めた。

背番号「10」の右サイドスロー大川裕太郎投手(3年)が、4安打で公式戦初完封。最速120キロ前後の軟投派が、徹底的に相手を分析し、的確にコースに投げ込んだ。

9回2死、最後のアウトを確認した大川が、表情を崩さないまま右手で力強くガッツポーズを作った。「しっかり対策をして自信はありました。コーナーをしっかり突いて、緩急を意識して投げることができました」と冷静に話した。相手の藤沢翔陵について、テレビ神奈川で中継された試合を録画。1人で2、3回繰り返し見て、各打者の得意、不得意のコースを見極めた。その結果「ほとんど分析したとおりに投げ込んで、アウトをとることができました」という。

本格的な投手転向は1年前。極端なインステップは自然なフォームで、あえて矯正せずに投げ続けた。当初はアンダスローだったというが「あまりに球が遅かったし、変化球もうまく投げられなかったので」次第に腕の位置が上がり、今のサイドスローに落ち着いた。「3年前の先輩に憧れて入ってきたので、それを超えられるように頑張りたいです」と大川。分析力と制球力で、ベスト8進出を目指す。【鈴木正章】