全国独自大会のトップを飾って、ノースアジア大明桜が3年ぶり10度目の秋田王者に輝いた。140キロ超え四天王の一角が力投。最速146キロの先発・橘高康太(3年)が5回2/3を2失点(自責1)で試合を作り、同145キロの2番手・長尾光(3年)は3回1/3を無安打救援して歓喜をもたらした。夏は2年連続決勝で涙をのんできたが、三度目の正直で栄冠をつかんだ。

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三振締めでポーカーフェース長尾が雄たけびをあげた。最後を空振り三振に仕留めると、右手でガッツポーズ。9回2死、カウント2-2、5球目にはスプリットを選んだ。7つの球種を持つ右腕は「最後は一番得意な球で勝負しようと思っていた」。大きく腕を振り、最高の結果に結びつけた。

三振を狙うタイプではないが「9回裏2死とかミスが起こりやすい場面はゴロを打たせない方がいい。三振を取れて良かった」。長尾は橘高の後を受け、4-2の6回2死一塁から登板。直前に2点差に迫られる嫌なムードにも「ああいう場面は投げ慣れていたし、緊張はなかった」。スプリットで三振を奪い、7回の2点追加を呼び込んだ。

先発の橘高は3回まで3者凡退と順調な立ち上がり。初回は先頭を右飛、2番、3番は3球三振で抑え、自己最速146キロで同回を締めた。5回途中2失点で先発の役割を全うし、1、2年時の夏にメンバー外だった悔しさを晴らした。「入った当初からすごい2人(長尾、佐々木湧)がいて負けたくない気持ちでやってきたので、2人には感謝している。長尾は抑えてくれると安心して見ていたし、自分の力を出し切ったので悔いはない」。昨年から球速11キロアップに成功。努力を続け優勝に導いた。

明桜は144キロエース佐々木湧生(3年)が夏前に右肘を痛め、今大会は万全な状態で臨めなかった。それでも新星・風間球打(2年)が150キロをマークして快投するなど4人で支え合い、5試合8失点と鉄壁を誇った。

決勝戦では投手陣の「育ての親」でもある尾花高夫総監督兼投手コーチ(62)もスタンドから見守った。「心の甲子園をつかむ」が今夏のテーマ。東北大会(8月9~11日、宮城・石巻市民球場)で優勝し、140キロ超えカルテットが有終の美を飾る。【山田愛斗】

明桜・風間球打投手(2年=自己最速150キロを出すなど今大会を振り返って)「注目を浴びる大会になりました。課題としてはボールが高めに浮いてしまうこと。東北大会までに制球の精度を上げていきたい」

明桜・佐々木湧生投手(3年=今大会は1試合の登板)「他のピッチャーに頼ってばかりで助けてもらった。それでも自分の結果よりもチームが勝てて良かった。今度は東北大会で自分が助けたい」

明桜・福井章記主将(3年=3年ぶりの秋田王者)「つらいこともたくさんあったが、優勝できてうれしい。東北大会で優勝して甲子園で優勝する力があったことを証明したい」