室蘭地区で、苫小牧東が苫小牧南を5-0で下し、97年以来23年ぶりの秋季全道大会進出に王手をかけた。体を大きくひねるトルネード投法の左腕、猪田京佑(2年)が先発し7回2安打無失点。打撃でも3回1死二、三塁で右越え2点適時打を放ち決勝点をたたき出し、勝利を呼び込んだ。

5回まで無安打、走者を出しても三塁を踏ませない冷静な投球でゲームをつくると、8回から2番手の木村英矢(2年)に継投した。「みんなを信じて打たせて取れたのが良かった」。初戦の苫小牧工戦から2戦計16イニング1失点と、上々の内容でチームを代表決定戦に導いた。

独特のフォームは中学時代、体が早く開かないよう意識するうちに生まれ、さらに「高校に入ってひねりを大きくした」。左手が体に隠れ、球の出どころが見えにくく、リリース時は顔が三塁方向に向く。球筋も読みにくいトルネードからの“あっち向いてホイ”投法で幻惑した。

苫小牧東は7月にOBで作家の馳星周氏の直木賞受賞で注目を浴びたが、野球部は今夏地区初戦で室蘭栄に敗れた。猪田も先発し3回途中4失点降板と散々だった。18年秋から今夏まで1年以上も初戦敗退が続き「すごいOBがいるのに1回戦負けは格好悪いと思った」と反省し、夏場に週5日、ポール間走とタイヤ引きを行い下半身強化してきた。発奮したエースを軸に、16年夏以来4年ぶりの代表決定戦進出。勢いに乗って、全道切符をつかみにいく。【永野高輔】

▽苫小牧東・前川護監督(43)「守備でしっかり我慢できるようにと練習してきた。(代表決定戦は)格上が相手だが、少ないヒットでも失点を少なくしてチャンスをものにできるようにしたい」