恩師の教えを生かした。高崎健康福祉大高崎(群馬)の主将で4番、小沢周平二塁手(2年)は「佐野さんには『調子が悪い時は、低くなって平行に振れ』と言われてました。最近、状態が良くなかったので、それを思い出しました」と、うれしそうに明かした。1-0の5回無死一、二塁で、右前へ適時打を放った。序盤は打ちあぐねていた打線を活気づけ、8回コールド勝ちにつなげた。

横浜市磯子区出身。小1から近所にあった野球教室に通った。そこの先生が佐野さん。近鉄、巨人でプレーし、引退後は横浜(現DeNA)、巨人でコーチも務めた佐野元国氏(62)だ。最初は、元プロ野球選手とは知らなかった。ただただ「打撃のスペシャリスト」と慕い、中3まで通った。身長172センチ、体重79キロと小柄な方だが、高校通算31本塁打のパンチ力を備える。「バットとボールが当たる時間を長くするよう、意識してます。平行に振る意識です」と、佐野さんの教えが根底にある。

初回、3回の好機でも回ってきたが、いずれも一塁が空いており、申告敬遠された。3打席目、5回無死一、二塁で、やっと勝負してもらえたが、送りバントを失敗した末の適時打だった。「送れなかった分、右方向への意識を強く持ちました」と、チーム打撃の結果でもあった。

これで、関東4強入り。来春センバツを、ほぼ確実とした。「新チームになってから、絶対にセンバツに行くことを第1目標にしてました。勝ててうれしいです」と素直に喜んだ。ただ「1戦必勝でやっていきたい」と続けた。昨秋に続く関東の頂点を見据えた。【古川真弥】