岩手の地で、さらなる成長を遂げる。今秋のドラフト会議で指名漏れした大崎中央(宮城)の最速151キロ右腕・氏家蓮(3年)が来年、社会人野球のトヨタ自動車東日本(岩手・金ケ崎町)でプレーすることが8日までに分かった。同校から直接、社会人野球の企業チーム入団に至った例は氏家が初となる。

伸びのある直球を軸に、ひたむきに挑戦していく。氏家は「相手打者を真っすぐと気持ちで押していく投球スタイルで戦いたい」と、昨秋の最速144キロから7キロを更新した回転数の高い直球が持ち味。入社1年目から活躍したい思いもあるが、「しっかり体を作って、柔軟性を高めたい」と焦らずに成長していく。

プロ志望届提出後に東京ドームで行われた9月の高校生合同練習会に参加し、発見もあった。「周りの選手は体もできていて、出力を出す筋肉量の差を感じた。自分は線が細い。常時140キロ中盤を投げられる体を作りたい」と、将来的な目標を語った。

トヨタ自動車東日本は12年創部と若いが、18年に都市対抗初出場を果たした。元楽天エースの田中将大投手(32=ヤンキースFA)を目標に掲げる氏家は、「13年に楽天を初の日本一に導いた姿に感動した。自分もトヨタさんを初の都市対抗優勝に導きたい」と重ね合わせた。同校の平石朋浩監督(33)は「恩返しを第一に考えて、多くの人の思いを背負って投げられる投手になってほしい」とエール。感謝の気持ちを忘れずに、社会人のマウンドでも闘志むき出しで右腕を振り続ける。

◆氏家蓮(うじいえ・れん)2002年(平14)4月13日生まれ、宮城・栗原市出身。姫松小(現一迫小)4年時に一迫山王クラブで野球を始め、栗原西中では軟式野球部。2、3年時は栗原市選抜に選出された。大崎中央では1年夏からベンチ入り。同秋は県3位で東北大会に出場し、16強進出に貢献。右投げ右打ち。50メートル走6・5秒、遠投100メートル。171センチ、73キロ。家族は父、叔母、祖父母、曽祖母。