「ロケット四天王」のうちの2人が、初戦で散った。最速150キロの松浦慶斗と最速154キロの関戸康介(ともに3年)のダブルエースを擁する大阪桐蔭が、智弁学園(奈良)との1回戦で敗れた。昨秋の近畿大会決勝の再戦も、2投手がまさかの計7失点。リベンジはならなかった。

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大阪桐蔭のダブルエースが、力を出し切れないまま、姿を消した。先発の松浦は立ち上がりに3四死球&2安打を許し、いきなり4失点。昨秋近畿大会決勝に続く初回の失点に「今までも初回の入りで失点が多くて、その中で絶対に初回を抑えようとして空回りした」と悔やんだ。

それでも2回以降は完璧に抑え、5回からは関戸にスイッチ。打線も4点を追う6回に2点を返し、反撃ムードは高まった。しかし、つかみかけた流れに乗れない。その裏、四球から無死一、二塁のピンチを招いた。相手のバスターも頭に入れて、捕手田近は外角ボールゾーンへのスライダーを要求。しかし関戸の投じた1球はど真ん中へ。森田に警戒していたはずのバスターで痛打され、守備の乱れも絡んで2点を献上した。この回さらにもう1失点。右腕は「あそこで粘れなかったのが自分の弱さ。負けの一番の要因」と肩を落とした。

ともに150キロ台の速球を誇るが全国の経験が足りなかった。前夜、緊張で表情の硬い松浦らを見かね、石田コーチは5人の投手に手紙を書いた。平常心を取り戻させたい一心だった。だが松浦は立ち上がりに苦しみ、昨冬に右手人さし指を骨折した関戸は調子を取り戻せず4暴投に泣いた。

球場前の桜は、まだ咲き出したばかり。満開の桜に送られるのが、大阪桐蔭のセンバツだった。センバツ初の初戦敗退。西谷浩一監督(51)は「悔しさだけではなく、この経験を夏に生かしたい」と絞り出した。成長したロケットボーイズを連れ、3年ぶりの夏を目指す。【堀まどか】

 

大阪桐蔭・池田主将(9回2死からの三塁打など3安打で奮闘)「後半の粘りは出せたと思うが、前半のチーム力は、全てにおいて実力不足だなと感じた。甲子園で出るプレーが、本当の実力だと思います」

大阪桐蔭・田近(松浦、関戸らを苦心のリードも)「交流戦の経験はあるものの、センバツの初戦はだれも経験していなかった。相手を上回れなかった」