今春、センバツ出場の常総学院が逆転サヨナラで明秀日立を破り、4強入りを果たした。

チーム一、真面目な男が勝利を決めた。2-3で迎えた9回裏、常総学院は一死一、二塁から田辺広大捕手(3年)の左前適時打で同点に追い付き、さらに二死満塁とすると、打席には中村蒼外野手(3年)。「後半になり、思ったよりも球がきていなかったので、真っすぐを狙っていた」と、狙い通りの球を右前へ運びサヨナラで試合を決めた。「ここで決めたいと思って打席に入りました。よかったです」と初めての決勝打に、照れくさそうに笑った。

試合後、島田直也監督(51)は「僕は野球の神様はいると信じている」と話した。中村は、チームで一番、真面目な選手。「いつも必死に取り組んでいる。そんな姿が結果につながった」と笑顔で評価した。いつも最後まで残って練習。一切、手は抜かない。野球だけではない。授業でも居眠りはせず、勉強にも真剣に取り組んでいる。日ごろの地道な努力が、土壇場で大きな成果を生んだ。

次は準決勝。勝てば春季関東大会出場が決まる。中村は「自分たちの野球をするだけです」と力を込めた。前半でリードされながらも、後半で追いつき勝利につなげた。粘りの野球で、常総学院はまたひとつ強くなった。