上尾が、公立の星として「勇敢」に戦う。第103回全国高校野球選手権埼玉大会(7月9日開幕)の組み合わせ抽選会が16日、さいたま市内で行われた。

上尾は、春季県大会で公立として唯一、4強入りを果たした。昨秋は浦和学院、今春は花咲徳栄と私学に敗れた経験を夏につなげる。

上尾の練習グラウンドの三塁側ベンチには「勇敢」という言葉が大きく掲げられている。どの部活も新型コロナウイルスの影響を受けて活動が制限される中、春季県大会中に書道部から贈られたものだ。宮沢勇聖主将(3年)は「自分たちのモットーのように感じて、勇気をもらっている。勇敢という言葉に合うような野球をしたい」と夏を見据える。

緊急事態宣言のため、県立校は練習が週2日に制限されるなど厳しい環境を乗り越えてきた。練習がない日は、密を避けてミーティング。甲子園に行くためには何が必要か、意見を出し合った。宮沢主将は「課題が明確になった」と明かす。

短い練習時間を効果的に使い、守備からリズムを作るスタイルを磨く。昨秋県大会1回戦の浦和学院戦と、今春準決勝の花咲徳栄戦に先発したエース新井陸斗投手(3年)は「夏は真っ向勝負で、リベンジしたい」と意気込む。

84年以来、遠ざかっている甲子園へ-。高野和樹監督(54)は、浦和学院や花咲徳栄と対戦した経験について「選手が2強を肌で感じて、強さを感じたことは、お金には代えられない経験。絶対にかなわない、ということがあるわけではない」と話す。前任の鷺宮では元ヤクルト、日本ハムでプレーした増渕竜義を擁した06年に県大会決勝に進出したが、浦和学院に敗れた。母校を指導して12年。「この時代に、上尾が甲子園に行く意味は大きい」。強豪私学に、チーム一丸で立ち向かう。【保坂恭子】