コールド負けを喫した直後だった。上富良野の白田貴志投手(3年)はスタンドへあいさつへ向かう前、チームメートに声をかけた。「最後まで笑顔で行こう」。主将らしさを貫いた。12安打17失点と、どれだけ打たれてもへこたれなかった。最後までマウンドに立ち続け124球を投じた。

入学当時、野球部に入部を希望したのは自分だけだった。自らクラスメートに声をかけ2人が入部。だが、そろって野球経験がなく「ストッキングのはき方が…」と振り返るなど、最初はユニホームの着方さえわからなかった。

昨秋は富良野緑峰、上川との連合チームで出場。高校最後の今夏の単独出場を諦めていたが、この春大きなチャンスが訪れた。1年生が2人入部。「もしかしたら単独で出られるかもしれない」。夏に向け部員5人が総出で助っ人をさがした。他部などから4人を集め、17年秋以来となる公式戦単独出場を果たした。

全校応援を受けながらグラウンドに立った。バットでは2打数無安打も「打席の中でわくわくした。ブラスバンドの応援はすごく励みになった」。高校卒業後は大学進学を希望しており、将来は農業関係の仕事を目指す。「人を笑顔にしたり、救えるようになりたい」。グラウンドを後にする時も笑顔だった。【山崎純一】

▽上富良野・鎌田拓監督 結果は大差ですけど、最後まで一生懸命やっている姿をみせてくれた。

▽単独チームとして自身初の公式戦に出場した上富良野・笹原柊遊撃手(3年) つらいなと思う時期もあったけど、今日試合をして野球を続けてきてよかったなと思った。

▽上富良野・佐藤愁中堅手(3年) つらいこともあったけど、今まで楽しくできたのでよかった。