旭川地区で、旭川工が昨年の道高野連独自大会で準優勝した旭川龍谷を10-0の5回コールドで下し、3年ぶりの北大会出場を決めた。控えメンバーがデータ班となり、相手投手を分析した効果が実を結んだ。

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旭川工打線が相手エースを揺さぶった。キーマンとなったのは、初の1番で起用された川島丈右(じょう)中堅手(3年)だった。「足(盗塁)は練習試合でも決まっていたので、自信を持って走っていきました」。2安打2盗塁で3得点。50メートル6秒前半とチーム屈指の俊足は、迷いなくグラウンドを駆け回った。

選手たちの自信を持ったプレーの背景には、データ班の努力があった。3年生部員21人のうち、ベンチ外の3人が対戦相手の前の試合などを観戦し、相手投手の間合いや、セットポジションの秒数などのデータを収集。ベンチメンバーに参考資料として伝えられていた。

けん制球の回数など相手投手の癖が頭にインプットされていた川島は、3点を挙げた2回に二盗に成功。「けん制が何回しか来ないとかがわかっていたので、けん制がきても戻れるリードで走れると思っていた」。3回には三塁に単独スチールも決め、チームは10安打3盗塁で10得点。データ班に「感謝しています」と口にした。

旭川の強豪対決を制し、3年ぶりの北大会進出だ。上村健太監督(39)は「思い切りファーストプレーから行ってくれた」と選手をたたえた。川島は「自分たちの目標は甲子園で校歌を歌うこと。厳しい戦いになると思うけど、最後まで自分たちの野球を貫いて、1勝1勝重ねていきたい」と力を込めた。【山崎純一】

◆旭川工の北北海道大会 60年の初出場から過去16度出場。優勝5度(91、96、02、05、12年)、準優勝1度、4強が2度ある。初戦敗退はわずか4度で通算30勝11敗。

<北大会に届かなかった旭川龍谷の増田久遠(くおん)主将(3年)> なんとか全員で勝とうと思っていたので悔しい。ここまでみんながついてきてくれて感謝しています。