北北海道大会が開幕し、帯広農が帯広北に4-3で競り勝ち、9年ぶりの北大会1勝を挙げた。昨年はセンバツに21世紀枠で選出も大会が中止となり、代替で行われた夏の甲子園交流試合で勝利。現チームは「記憶に残る1勝から記録に残る1勝へ」のスローガンを掲げ、39年ぶりの夏甲子園切符を目指す。

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帯広農が徒歩14分の距離にある、最も近い“ご近所”帯広北との十勝地区対決を制した。今春の地区予選で14-4とコールド勝ちした相手に1点差の辛勝。前田康晴監督(45)は「しんどかった。前回の結果は意識しないよう伝えたが、これが夏。緊張もあったと思う。でも、こういう試合を勝ちきれたことで、すごく成長につながる」と、うなずいた。

しびれる展開の中、気を吐いたのは昨夏の甲子園交流試合に出場した1番西川だ。初回に四球と盗塁の後、先制の生還を果たすなど3安打。三塁守備では1点リードの8回無死二塁、ゴロを捕球した投手の送球を受け、飛び出した二塁走者を追走。打者走者が一塁を蹴るとすかさず二塁に送球して刺し、二塁走者も二、三塁間で挟殺する併殺プレーに貢献。「僕がゆっくり追い打者走者をおびき出し2人アウトにする。昨秋から取り組んできたことが初めて試合で出せた。神様は見ているんだなと感じた」と振り返った。

昨夏の甲子園交流試合で1勝を挙げたが、センバツおよび全国選手権の記録には残らない。前田監督は「勝ったけれども、何か悔しい思いがあった」。新チームでは再び甲子園に出るという意味で「再甲」、さらに「記憶に残る1勝から記録に残る1勝へ」と記された横断幕をグラウンドに張り、気持ちを高めてきた。イニング間には全員で左肩の校章をつかみ「いくぞ再甲!」と声をかけあい、競り合いをものにした。

現メンバーで昨夏の甲子園に出場した4選手の中、西川だけが3打数無安打。「僕だけ打てていない。家族からもずっと言われ続けている。悔しい。何としても、もう1回、あの場所に行って打ちたい」。21世紀枠ではなく、今夏は優勝して聖地に立つため、全力プレーを続ける。【永野高輔】

◆北北海道大会の十勝勢対決 今回で9度目。帯広三条が帯広柏葉に8-1で勝利した13年準々決勝以来、8年ぶりだった。62、86年には。甲子園をかけた決勝で実現し、ともに帯広三条が勝利している。過去、白樺学園と帯広三条がともに4戦4勝の好相性。反対に帯広北が今回で3戦3敗となり、帯広柏葉、帯広工がともに2戦2敗。

▽1点差で敗れた帯広北の田沢圭司監督(42) 4点、5点の接戦にもっていきたいという話はしていたので、その部分はできたと思います。