1回、2回、3回…7回! 作新学院の5番打者、平塚恵叶(けいと)外野手(3年)は必ずベンチ前で腕立て伏せをしてから、ネクスト・バッタースボックスに向かった。

「ルーティンです! 筋肉が温まるので、初球から振っていける。回数は7回です! 僕はレフトなので」と、ポジションに合わせた験担ぎのラッキーセブンでパンプアップ。狙い通り、1-0の3回無死満塁で那須拓陽・佐藤の初球を中前打。2点を加え、6回コールド勝ちにつながる勢いをつけた。

「僕、うるさいんです」と自覚するムードメーカー。ついたニックネームが「あばれる君」だ。ベンチでは率先して仲間を鼓舞。その姿に、小針崇宏監督(38)が目を留めた。「もともとスイングスピードはチームでも上の方。気持ちもある選手。凡打でも一生懸命、走る」。この夏、背番号16で初のベンチ入り。3試合全て先発で出場する。

そんな、あばれる君の奮闘で、王者が目を覚ました。初戦は栃木に8-2で勝ったが、拙攻が続いた。3回戦は小山に3-2の僅差。3戦目で、ようやく13安打10得点と爆発。10大会連続優勝へ弾みをつけた。ただ、平塚は「課題が残ります。もっと初球からいかないと」と、6回の2点適時三塁打が初球ストライクを見逃した後の2球目だったことを反省。己に厳しく「1戦1戦やって、10連覇にこだわりたい」と口元を引き締めた。【古川真弥】