両軍合わせ29安打の死闘を制した。日本ウェルネス宮城が仙台西に11-10で延長10回の末、競り勝った。9-9の10回無死二、三塁から2番佐藤栄策主将(2年)が勝ち越しスクイズを成功させ、勝負をものにした。

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白熱の打ち合いは、日本ウェルネス宮城に軍配が上がった。11-10の10回2死二、三塁。エース早坂海思投手(2年)が、最後の打者を空振り三振に仕留め、両軍計29安打21得点の乱打戦に終止符を打った。終盤の3イニングは、勝ち越しては追いつかれる展開。我慢強く耐えてつかんだ秋1勝だった。金子隆監督(64)は開口一番、「疲れました。リードしては、振り出しに戻って、すごろくみたいなゲームでしたね。選手たちはよく集中力を切らさずに、戦ってくれた」とナインの奮闘に目を細めた。

チームを引っ張る佐藤栄主将の技が光った。9-9の10回無死二、三塁。カウント1-1。ぎりぎりまで立てていたバットを横に構えた。外角直球を投前に転がし、三塁走者の三橋流星内野手(2年)がホームに生還。勝ち越しスクイズを決めた。「普段の練習からバント練習はしている」と、勝負どころで成果を発揮した。

「勝負の1年」と位置づけている。20年4月開校で現2年生は1期生。今春は初の県8強入りを決め、着実に力をつけてきたことを証明したが、今夏の宮城大会は東北学院榴ケ岡との初戦で0-1で敗戦。今大会に向け、課題となった打撃力を徹底的に磨いた。先発全員安打の16安打11得点で、同8強に輝いた強豪に打ち勝った。佐藤栄主将は「練習の成果は出た。1年生から(試合に)出ている経験を生かしていきたい」と力を込め、「目の前の試合を勝ち進んでいくだけ」と頼もしく言い切った。地に足つけて、激戦の宮城を勝ち上がる。【佐藤究】