マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏（48）が12日、高松市内のレクザムスタジアムで高松商（香川）ナインを指導した。約4時間、かけがえのない教えを授かり、選手たちは夢心地に浸った。長尾健司監督（51）は「子供たちにとっては、ひと言ひと言が重い言葉として心に残って、これから夏に向けて、その言葉をしっかり胸に刻みながら、日々、練習しようかなと。楽しみにしています。いい2日間。1カ月分の練習をした感じです」と感謝した。

来訪は今夏の甲子園大会で智弁和歌山に敗戦後、指揮官がイチロー氏の指導を熱望したことがキッカケになった。

「全国で勝つためには智弁和歌山のような落ち着きと積み重ねたもの（が必要）。その自信を植え付けるために、イチローさんのひと言が多分、この冬、彼らを強くしたと。イチローさんが言っていたんですけど『人は冬で全然、変わってくる』と。『ガラッと違うチームになった』と言っていた。もちろん、中谷監督が一番だと思うけど、イチロー選手との出会い、世界の選手との出会いが大きかったと思った。（夏の敗退直後に）『来てください』とは言ってはいないんです（笑い）。イチローさんが来たかどうかの差があったと思った。でも、ありがたいこと」

今秋の香川県大会は準々決勝で英明に敗れた。「1球、打席に立ったら1球に準備していくのをやっている。この気持ちは変わらずに、一戦必勝の精神で、夏に臨みたい。一戦必勝のために、プレーボールがかかったときに、夏の大会、僕が何もすることがないと思えるように準備したい」と指揮官。春夏通算48度の甲子園出場を誇る名門は「イチローの考え」を糧に、来年の日本一を目指す。