昨秋都大会16強を目前に敗れた駒場学園(東京)には、プロ注目の好投手がいる。

佐藤夏月(かづき)投手(2年)だ。身長182センチ、体重74キロの大型左腕。中学時代の最速は110キロも、昨夏には132キロを計測。2年間で球速22キロアップと着実に力を付けている。自身の特長を「体の柔らかさを生かした投球フォームには自信があります」と話す。

中学時代は1年時の肘のケガが原因で、3年の3カ月間しか投球できなかった。それでも潜在能力の高さを評価され、同校に入学。現役時代は日大国際関係学部野球部で副将を務めた久住草太コーチ(29)から、投手としての礎を学んだという。

第1にケガをしない体作り。自慢の柔軟性は、久住コーチの提案で始めたストレッチで手に入れた。「毎日風呂上がりに開脚を30秒、2セットやり続けたら柔らかくなりました」と、180度に広がる開脚を披露。柔軟を始めてからは大きなケガをすることもなくなった。

第2に投球フォーム。入学当時に教わったことが軸になった。「野手投げと投手投げの違いを教わりました。投手は頭と下半身の“割れ”を作ることが大切なんだよ、と」。今でも練習で繰り返し体に染み込ませている。これらに加え、入学時には170センチ程度だった身長が10センチ以上伸びたことが要因で、球速はどんどんと上昇した。

目標はプロ入り。野球を始めるきっかけを与えてくれた西武内海哲也投手(39)と一緒にプレーがしたい。「小学生の時に巨人戦を見に行ったんですけど、試合後にエキサイトシートにいたら内海投手がボールをくれたんです。その時に数秒ですけど、話すことができた。自分もこんな人になりたいと思って野球を始めました」。夢をかなえるためにも、高校最後の1年に懸ける思いは強い。【阿部泰斉】