日本高野連は28日、第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の選考委員会を開催し、午前中からオンラインで21世紀枠候補校・推薦理由説明会が行われた。

東北地区からは東北地区理事で福島県高野連理事長の木村保氏が説明報告。「小さな学校の大きな可能性の挑戦。全校生徒わずか86人の小さな学校、福島県立只見高校のスローガンであります。秘境のなかの秘境ともいえる山あいに、現在、積雪20センチにも及ぶ日本有数の豪雪地帯であります。過疎化、高齢化が県内でももっとも進行している地域であります。厳しい環境のなか野球部が頑張って活動できているのは、温かい地域のまなざしと町の力強い支援、そして監督の存在です」と話した。

同氏は20年センバツで磐城(福島)を21世紀枠で出場に導きながらコロナ禍で大会が中止になり、転任となっていた。同年8月の甲子園交流試合で指揮を執れず、特例で試合前のシートノックに臨んでいた。「就任19年となる地元只見町出身で、外部監督の長谷川さんは地元創生のため、強い心意気を持って指導にあたり、部員たちとともに本気で甲子園を目指し、練習に励んでいます」。同校は室内練習場がなく、11月下旬から約4カ月、グラウンドでの練習が不可能になるという。「この町に暮らす部員たちにとって、雪に囲まれた冬は当たり前のこと、口にもそろえて、ハンディとも思っていません、と言い切ります」と強調した。

同町も東日本大震災で被害を受けた。JR只見線は一部区間が不通のまま。そのなかで野球部員が町民の一員として奮闘する。「地道に野球を愛し、すがすがしさを感じる只見高校の野球部の選手たちが、甲子園のグラウンドであきらめずに前に進もうと躍動する姿を披露できるとなれば、只見町のみならず、会津地方全体の希望の光であり、そして、福島県、さらには東北の復興のシンボルとなるのは間違いありません。全国の同じ境遇の方々の励みにもなることでしょう」と熱弁をふるった。

21世紀枠3校はこの日の午後3時に発表される。北信越・東海から東の東日本、近畿から西の西日本から1校ずつ選び、残り1校は東西の地域に関係なく選ぶ。