第94回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)に臨む監督や球児を「どっちも勝て~特別編~」として全3回で紹介する。第2回は、「まだまだいるぞ! 1年生スラッガー」。今大会は花巻東(岩手)佐々木麟太郎内野手を筆頭に、下級生の長距離砲が並ぶ。山梨学院・高橋海翔(ひろと)内野手は昨夏から4番に抜てきされ、勝負強さが光る。木更津総合(千葉)・水野岳斗外野手は、181センチの長身で広角に打てる4番打者。“麟太郎世代”として注目の学年だ。

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強豪山梨学院で、1年夏から主砲を打つのが高橋だ。花巻東の佐々木麟のような一発長打とはひと味違う、確実性という非凡さを持つ。その能力について話す吉田洸二監督(52)はどこか楽しそうだ。

吉田監督 どこまでも果てしなく飛ばすのが山梨学院のデスパイネと異名を取った野村(早大2年)ならば、試合で勝つために4番を任せるのが高橋でしょうね。彼は打てるポイントをいくつか持っている。それが大きいんです。

外角と内角に複数のポイントを持つ。さらに、ボールへの対応力に確実性がある。高橋は「早いカウントで、ストレートを待っていても、甘いスライダーが来たら打ちます。体が反応するから、バットを出せます」とさらりと答える。実は、追い込まれる前にこうした対応ができる打者は、実戦では無類の強さを見せる。

吉田監督は「高橋は不思議な選手で、練習試合ではまったく打てない。それが、公式戦になると見違えるようなバッティングをするんです」と、意外な一面も明かしてくれた。

ボールに対する反応の良さと、フェアゾーンに運べる技術。右のスラッガーとして、知名度を上げるセンバツ大会になる可能性大。【井上真】