8地区で代表決定戦12試合が行われた。旭川地区では旭川明成が延長10回の末、旭川大高を8-6で破り、初の春全道大会出場を決めた。3番手でリリーフした背番号9の左腕、千葉隆広(2年)が7回2失点。打線は6番荒木隼杜左翼手(3年)が先制打を含む2安打2打点で15安打の打線をけん引した。札幌地区では北星学園大付が立命館慶祥に8-1でコールド勝ちし、こちらも初の春全道切符をつかんだ。16日に釧根地区で代表決定戦が行われ、代表16校が出そろう。

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旭川明成に絶体絶命のピンチが訪れた。6-6と同点で迎えた9回裏1死満塁の守備。相手代打との勝負にマウンドにいた千葉は察した。「2球目にスクイズだと思った。初球の変化球で打者の反応があまりよくなかったので(次の球も)変化球を投げたらと」。予想どおり仕掛けてきたが、外角へ外し気味に投じた球に打者は空振り。挟まれた三塁走者は戻るも、後ろの走者と三塁ベース上で重なり二塁走者がアウト。「そこでアウトを取ることができてよかった」。この回を無失点に抑え、味方スタンドを沸かせた。

その直後に、流れが舞い込んだ。延長10回表1死から、石田隼太中堅手(3年)が二塁打で出塁。続く荒木が放ったゴロを処理した遊撃手が一塁へ悪送球し、ボールが転々とする間に石田は一気にホームへ向かいヘッドスライディング。勝ち越しの生還にベンチは歓喜に包まれた。この日15安打のチームの中で先制打を含む2安打2打点の荒木は「後ろにつなげられるようになんとしても出ることに集中していた」と話した。

その裏、最後の打者を打ち取った千葉は両手を広げ喜びを爆発させながら、ベンチから飛び出してきたチームメートとハイタッチした。「楽しかった。我慢して、相手の打者1人1人と集中して勝負できた」。昨秋全道では準々決勝で準優勝した旭川実に2-3と惜敗。完投も勝利に導けず責任感を感じた。その「悔しさを思い出しながらモチベーションに」体の柔軟性を高めるなどのパフォーマンス向上に励んだ冬の成果を見せた。

父で20年12月に就任した千葉広規監督(44)は「同点に追いつかれてから逆転を許さなかった。少しは我慢強さがついてきたのかな」と勝利をかみしめた。昨秋に続き2季連続で長男とともに挑む初の春全道へ「1つ2つ、夏に向けて経験できれば」と見据えた。千葉は「守備でも打撃でもチームから信頼されるようなプレーをして勝利に導けるように」と円山での戦いに挑む。【山崎純一】