北の球児たちの熱戦が始まる。第104回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)道内各地区予選が25日、南北海道・函館、室蘭、北北海道・十勝地区を皮切りに始まる。室蘭地区で今春全道4強の苫小牧中央は、プロ注目の151キロ右腕、斉藤優汰投手(3年)を軸に初の甲子園切符を狙う。春は延長13回を2度経験し、日本ハム根本悠楓(19)から受け継いだ冬場の肉体改造メニューの成果を実感。夏に向け課題の制球力にも磨きをかけた「シン・斉藤優汰」が進撃を開始する。

春に続き夏も歴史を変えにいく。苫小牧中央・斉藤は、春は初となる全道4強にけん引。まずは28日の初戦に向け「夏は何が起こるか分からない。油断しないこと。1戦必勝で取り組み、甲子園に出場できたら」。同高の夏の最高成績は11年の南大会4強。大きな壁を越え、聖地を引き寄せる。

先輩が残してくれた強化メニューの成果を、実感した。冬場に、2学年上の日本ハム根本から受け継がれたエルゴメーター(ボートをこぐ動きのトレーニング機器)とポール間走を繰り返してきた。地区代表決定戦の北海道栄戦は延長13回190球、全道準決勝の札幌第一戦でも延長13回まで180球を投げ「札幌第一戦はまだ投げられた。体力面はかなり自信になった」。最後の夏、南北海道の頂に立ち、自信を確信に変える。

課題にもしっかり向き合ってきた。春全道で先発した2試合いずれも初回の先頭打者を出塁させ先制点を許した。北海戦は3ボールから甘く入った球を痛打され、札幌第一戦はいきなり四球。「直球を生かすために、変化球の精度を上げたいと感じた」。キャッチボールから変化球を相手の胸の中央に目がけ投げる練習を繰り返し「少しずつ良くなってきた」。変化球で配球の幅を広げ、立ち上がりの無駄な失点を減らす。

目標はプロ。全道初戦の北海戦ではNPB10球団のスカウトの視察を受けた。練習も含めれば既に12球団からチェックを受けたが慢心はない。「プロに入ることがゴールじゃない。活躍できるか。しっかり体をつくり、まず夏にみんなで結果を出し、その先につなげたい」と気を引き締めた。

同高初のプロ野球選手、日本ハム根本が初勝利した5月29日、斉藤は全道準決勝でサヨナラ負けを喫した。「夏こそ根本さんに、いい知らせを」。根本が3年だった20年はコロナ禍で夏の甲子園は中止。もどかしさの中で終えた偉大な先輩の思いも背負い、マウンドに立つ。【永野高輔】

◆斉藤優汰(さいとう・ゆうた)2004年(平16)5月27日、岩見沢市生まれ。岩見沢日の出小4年時に岩見沢日の出タイガースで野球を始める。中1まで捕手も、岩見沢明成中2年の秋から投手転向。苫小牧中央では1年秋から背番号18でベンチ入り。昨秋は背番号1を背負い全道大会出場も、初戦で滝川西に0-5敗戦。好きな言葉は「習慣は第2の天性なり」。趣味は小説を読むこと。家族は母と弟。189センチ、88キロ。右投げ左打ち。