都立の星・城東(東東京)が、第1シードの関東第一を破る金星を挙げた。

内田稔監督(38)は「ミラクルですね」と表現。3失策がありながら、エース峯岸叶投手(3年)は9回121球を投げて1失点で完投勝利を挙げた。6年ぶりの準決勝進出で、01年以来21年ぶり3度目の甲子園出場をつかみとる。

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総立ちのスタンドへ、城東の選手たちは「よっしゃー!」と拳を突き上げた。拍手は鳴りやまない。昨秋都大会3回戦で敗れた関東第一に、競り勝った。内田監督は「ミラクルですね。接戦に持ち込めば、ウチは最近ミラクルが起きているので。勝因は適度にエラーが出たところですかね」と話した。

ミラクルは、偶然ではない。先発の峯岸はキレのある直球をコースに投げ込み、フォークを低めに決め、内角もどんどん突いた。守備は3失策。それでも笑顔だった。「次、頼むぞ!」。完投したが、奪三振はゼロ。野手とともに守りきった。この夏は、にこにこ笑顔がトレードマーク。昨秋も今春も、失策が出るたびに表情は険しくなった。エースが楽しまなければ、チームの雰囲気は悪くなる。「どうしたら流れをもってこられるか」。結論が、試合中の笑顔だった。

関東第一の主砲・井坪陽生外野手(3年)は、内野安打1本のみに抑えた。「相手も同じ高校生だと思って、開き直りました。高校で一番いいピッチングができた」と話した。

運も実力のうち。1-1の8回2死一、二塁、代打の高野丈治外野手(3年)が、2ストライクから中前打を放ち勝ち越した。高野は16日の初戦、3回戦日本ウェルネス戦も代打で9回に同点の適時二塁打を放っていた。内田監督は「高野が持っているかなと思って起用した。持っていましたね」と明かした。

6年ぶりの準決勝進出。内田監督が4番打者を務めた01年以来の甲子園出場にも近づいた。峯岸は「1球1球を大事にして、勝っていきたい」と目を輝かせた。【保坂恭子】

◆峯岸叶(みねぎし・かなう)2005年(平17)1月27日生まれ、東京・葛飾区出身。小1から野球を始める。青戸中野球部(軟式)から、城東野球部の主将を務めていた3歳年上の兄・佑さんに憧れて進学。高校は1年秋からベンチ入り。昨秋から背番号1。家族は両親と兄。170センチ、70キロ。右投げ右打ち。

▽文京・梨本浩司監督(城東が01年に甲子園出場した際の野球部監督) ここまで来たら、決勝に行ってほしい。内田監督は立派。いいなぁと思いました。