富士森が延長戦を制し、創部初の4強進出を決めた。西東京大会での都立校の4強入りは、13年夏の日野以来、9年ぶりとなった。

午後5時20分に始まったナイトゲームは、お互い譲らぬまま、延長戦に入った。4ー4で迎えた10回表、富士森は1死二、三塁の好機をつくると、8番・佐野元内野手(2年)の右前打で、勝ち越しに成功した。

先発のエース右腕・甲斐凪砂投手(3年)は、10安打を浴びたが、与えた四死球はわずか1つだけと、コントロールがさえた。163球の粘投で、10回4失点完投。勝利が決まった瞬間は、ナインと抱き合いながら喜びを爆発させた。

試合後、チームを4強へ導いた甲斐は「今はホッとしています」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。この日は「前の試合で1球しか投げなかった」というチェンジアップを多投。打者のタイミングを外し、11個のフライアウトを奪った。

三塁側スタンドには多くの観客が詰めかけた。終盤には、吹奏楽の演奏にあわせた手拍子が、球場全体に響き渡った。「いつもより多くの人が来てくれたので楽しかったです」と笑顔を見せた。

勝利した富士森は、29日午前10時から神宮球場で、日大三との準決勝に臨む。西東京から都立校で甲子園出場を果たしたのは、1980年の国立のみ。42年ぶりの快挙へ、富士森の快進撃はまだまだ続く。