愛工大名電がシーソーゲームを制し、2年連続14度目の夏の甲子園出場を決めた。

今春の県大会決勝で敗れた相手にリベンジ。最後の中飛が加藤蓮外野手(3年)のグラブに収まるのを見届け、エース有馬伽久(がく)投手(3年)は両手を高々と掲げ、喜びを天に届けた。

9回に3点差とされ、なお2死二塁。内野陣がマウンドに集まってきたときに、天を仰いだ。「勝登(しょうと)、最後の最後に力を貸してくれ」。左腕は6月に心不全で急逝した瀬戸勝登外野手(3年)のことを思った。全身全霊を込めた122球目の直球で、ゲームを終えた。「ピンチのときにアイツの写真や、帽子のつばに書いた名前を見ました。力をもらえました」。4点を失ったが粘りの完投を友が支えてくれた。

全6試合、ベンチに瀬戸さんのユニホームを飾って一緒に戦ってきた。8回に勝ち越しの右前打を放った加藤は「勝登は同じセンターでいろいろ教えてくれた。全員で優勝を勝ち取れた」と素直に喜んだ。倉野光生監督(63)も「貴重な戦力を大会前に失った。みんなダメージだったけど辛抱強く戦った」と、試練をパワーに変えたナインの成長に目を細めた。【伊東大介】

▽愛工大名電・岩瀬法樹投手(3年=中日OB岩瀬仁紀氏の長男で、決勝は未登板も2試合に救援し計2回無安打無失点) (有馬)伽久が頑張ってくれ優勝できてうれしい。甲子園では勝利に貢献したい。

○…東邦は3-3の6回から登板したエース三浦心空(こくう)投手(3年)が終盤2イニングで4失点し、6年ぶりの夏の甲子園を逃した。4点を追う9回1死一塁では、中日石川昂の弟、瑛貴(てるき)内野手(2年)が代打で今夏初出場して左前打。「直球が2球続いたので真っすぐを待ちました。つなごうとだけ思いました」。昨夏の右肩脱臼の影響で代打起用が続いたが、レギュラーを目指す秋季大会につなぐ貴重な1本になった。