<高校野球西東京大会:日大三6-2東海大菅生>◇31日◇決勝◇神宮球場

左翼スタンドへ消える白球を、マウンドからじっと見つめた。東海大菅生のエース・鈴木泰成投手(3年)は7回に決定的な2ランを被弾。「本当に悔しい」と静かにつぶやいた。

最速148キロを投じる右腕には、チタン製のスクリュー2本が埋め込まれていた。21年センバツで2試合に先発登板したが、昨秋に右肘を疲労骨折。12月に手術した。「夏は自分が日本一へ導く」。その思いで、懸命にリハビリに励んだ。若林弘泰監督(56)が「強い思いで取り組んでいた」と目を細めれば、正捕手の福原聖矢主将(3年)も「黙々と練習をしていた」とうなずく。チームメートの誰もが、鈴木泰の努力を見てきた。

今年5月に実戦復帰し、今夏はエースナンバーを背負った。試合のたびに必ず、「チームに流れを持ってくる投球をしたい」と口にした。リハビリ期間中、メンバー外の選手のサポートを目にし、“チームのために”という思いが強まった。だが…甲子園へ導くことはかなわなかった。

鈴木泰は大会前に言った。「リハビリ期間の5カ月は、決してムダではなかった」。今夏投じた389球も、きっとこれからの糧になる。【藤塚大輔】

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