第104回全国高校野球選手権大会の大会本部が6日、メールによる臨時の運営委員会を開き、新型コロナ感染拡大予防ガイドラインを一部改定したと発表した。改定したのは「代表校の大会参加可否の判断基準」の部分で緊急対策本部が集団感染と判断した場合でも全部員のなかからメンバーの入れ替えが可能になった。

5日に新型コロナウイルスの集団感染と判断された県岐阜商にとっては救済措置になり、出場に向けて前進した。第4日第4試合の9日に社(兵庫)と対戦。鍛治舎巧監督(71)は「ウチから(感染者を)出してしまったが異例の対応をしていただいた。感謝申し上げたい。ありがたい」と話した。数日間、練習をしていない状況だが、指揮官はナインを励まし続けた。

「必ず試合があると思って頑張ろうな。初戦、必死になって戦って、勝ちを得られれば、その次の試合からおそらく、選手が帰ってこられるはずだから、彼らも待っているだろうから、彼らのためにも頑張ってやろう」

前日5日の時点でメンバー4人と補助員3人の感染が判明していた。責任感からおえつした選手もいた。感染は広がり、この日は合計14人が感染している状況だという。だがメンバー入れ替えが可能になり、岐阜から下級生を中心に14人を招集する。百戦錬磨の鍛治舎監督は「普段から、紅白戦で下級生も上級生も関係なくメンバーに組み入れている。試合慣れしていないことはない。うまく持っていければ、大きなハンディはない」と語気を強めた。

出場の道が広がり、ナインの結束は高まっている。普段から共有LINEでやりとりしてきた。「いままで甲子園に向けて頑張っていて最後の最後に迷惑をかけてゴメン」。そんなことも伝えられた。宿舎で対応した主将の伊藤颯希外野手(3年)は「そんなことを言っている場合ではない。野球をできるチャンスは0%じゃない。残っているメンバーで確実に1勝して、2回戦は全員で野球する。お前らもいい状態に持ってこれるようにしろ」とメッセージを送った。勝ち上がれば、2回戦は現時点で14日の予定。晴れの舞台を目前で、一度は奈落の底に突き落とされた。残ったナインにとっては、夏を失った仲間のための挑戦になる。希望の光が差し込み、出場への道を目指す。【酒井俊作】