明豊が30年ぶり出場の樹徳を下し、8強入りした17年以来5年ぶりに初戦を突破した。

3-3の6回1死二塁で、8番の牧野太一内野手(3年)が右翼に決勝の適時三塁打。「甲子園は夢に見た舞台だったので、本当にうれしかったです」と白い歯をこぼした。

牧野は今年5月から生徒会長に就任。全校生徒573人を束ねている。学業も成績優秀で、好きな教科は「数学」という理系男子だ。野球部では副主将も務め、リーダーシップも発揮。「授業はしっかり受けて、生徒の前で話す時も礼儀や言葉遣いを意識しています」。まさに模範生徒だ。

趣味の読書では「世界一ワクワクするリーダーの教科書」を熟読した。「スポーツに生きるメンタルの本です。その気持ちを野球につなげています」と明かす。チームメートの4番竹下は「どんな場面でも冷静に物事を判断して的確なアドバイスをくれる。テストの時には勉強も教えてもらっています」と感謝し、就任10年目を迎えた川崎絢平監督(40)も「彼が活躍すると、先生方や後輩も含めて喜んでくれる人がたくさんいる。そういう存在です」。信頼はとにかく厚い。

昨夏は1回戦で敗退した。川崎監督は「夏の初戦で連敗して帰るわけにはいかない。なんとしても初戦は取らんといかん」と、ナインのモチベーションを高めてきた。悲願の甲子園初制覇に向けて、まずは1勝。牧野は「1戦1戦勝ち進んでいく。そうすれば優勝は近づくと思います」と、冷静に次戦を見据えた。【只松憲】

○…救援で今夏初登板の明豊・森山塁投手(2年)が勝利を呼び込んだ。1点を勝ち越した直後の6回2死二、三塁から3番手で登板。一ゴロでピンチをしのぎ、勢いのまま回をまたぎ3者連続三振など3回1/3を1安打無失点。春先からの右肩のけがの影響で、大分大会に間に合わなかった。だが「悔しい思いを持って臨もうという気持ちでした」。甲子園の復活登板でその気持ちを体現した。

明豊・嶽下(たけした)桃之介外野手(3年=3安打1打点1得点に)「まだまだ上に上がるにつれ、ピッチャーのレベルは上がるので、3安打を意識せず練習から打てるように見直したい」

【夏の甲子園】写真たっぷり 第1日詳細ライブスコア

明豊・竹下聖人(きよと)内野手(3年=1安打)「去年の先輩方が初戦敗退で終わって、まずは初戦を大事にしようと、甲子園が決まってずっと言ってきた。まずは初戦を勝てて良かったです」

明豊・野村颯太投手(3年=先発で5回7安打3失点)「9回まで投げたいと思っていましたけど、後ろにも4人いいピッチャーがいるので、最初からしっかり全力で投げることができました」

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