日米通算4367安打のイチロー氏(49=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が27日、都立新宿のグラウンドで、同校の男子硬式野球部員を前日26日に続いて指導した。

2日目の最後。全員と記念撮影し、握手して終了。選手たちは「手を洗えない」と感激していた。

指導を全て終えたイチロー氏は、また選手たちに「アレ」を指令した。

「じゃあ、終わりだね。報告が入るようなシステムになっているので、みんな、ちゃんとやってよ。それぞれ、課題を1つずつクリアして下さい。昨日、今日だけで変われた。劇的に変われた。頑張って。勉強も頑張って」

「ちゃんとやってよ」は最初に指導した智弁和歌山で残した言葉。その言葉を胸に刻んで、同校は翌21年夏の甲子園を制覇した。

 

◆新宿 1921年(大10)に創立の都立進学校で、野球部は46年に創部。部員数は17人。甲子園出場はなく、今夏の東東京大会では4回戦で敗退。主なOBは元中日で現東大監督の井手峻や音楽家の坂本龍一ら。所在地は東京都新宿区内藤町11の4。藪田憲正校長。

 

<過去のイチロー氏の高校野球指導>

◆<1>智弁和歌山(20年12月2~4日)初日は「観察」、2日目から徐々に指導を開始し、最終日にはフリー打撃も披露した。21年の甲子園大会前にも「ちゃんと見てるよ」とメッセージを届け、21年夏にチームは21年ぶりの頂点に立った。

◆<2>国学院久我山(21年11月29、30日)フリー打撃で72スイングし11本の柵越え。三振しない「最後のテクニック」を伝授した。リードの取り方など走塁技術も惜しみなく指導。チームは22年センバツで初の4強進出と快進撃につなげた。

◆<3>千葉明徳(21年12月2、3日)初めて甲子園出場経験のない高校を訪問。ナインだけでなく指導者にも助言。「(練習は)メリハリが大事。ダラダラが怖い」と話し、試合中の采配についても具体的なアドバイスを送った。今夏は甲子園出場した市船橋に4回戦で敗れた。

◆<4>高松商(21年12月11、12日)21年夏の甲子園で智弁和歌山に敗れた長尾監督が「イチローさんにうちにも来てほしい」とラブコールを送って指導が実現。翌年巨人にドラフト1位指名される浅野翔吾(巨人)らを前に、狙いを説明しながらフリー打撃を行うなど手本となって技術を伝えた。「この2日間の時間をたまに思い出してほしい」とティー打撃で使用したバットをプレゼント。同校は今夏の甲子園で8強入りした。