第95回選抜高校野球大会(23年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠9校が9日、日本高野連から発表され、関東地区からは、石橋(栃木)が選ばれた。

今秋の栃木県大会では、2年ぶりに4強入りした。関東地区推薦枠には3度目の選出で16年と20年の過去2回は関東大会に出場し、21世紀枠関東・東京地区候補となったが、センバツ出場はならなかった。今回は「高いレベルで文武両道を実践している点、指導者と部員が工夫した練習に取り組み、県上位に進出し、他の規範とやっている点」が選出理由として挙げられた。

福田博之監督(57)は「通算で言えば3度目かもしれないが、この子たちは初めてなので新たな気持ちで、使命感、責任感をもって頑張っていきたい」と気を引き締めた。この後、グラウンドへ向かい、アップを終えた選手たちにも選考されたことを伝えた。「関東、東京地区はどれだけの学校があるのか。その中から1校だけ。自分たちだけの野球じゃない。他の学校のためにもやろう。甲子園に行ける確率は9分の1だからな。お前らが数学のテストで80点以上取る確率より高いぞ、だからがんばれ」と鼓舞した。

グラウンドは右翼60メートル、左翼90メートルと大きくない上に、他部との共用だ。吉報を受けたこの日もすぐに気持ちを切り替え、後ろのネットに向かって、飛びすぎないようにテニスボールでバッティング練習を黙々と始めていた。

福田監督が「半分心の鍛錬」という「ポリタンク走」もメニューに加えられた。ポリタンクに水を入れ、10キロ以上になったものを抱えながら約100メートルを5往復する。横松誠也主将(2年)は「伝統の地獄のメニューです。今年は今日が初めてです」と苦笑いだった。

三度目の正直で春、夏通じて初の甲子園切符を待つ。来年1月27日の選考委員会で3校が決まる。

同校は24年に創設された県立校で、野球部は35年に創部された。卒業生は小説家でタレントの室井佑月(52)ら。