第95回選抜高校野球大会の出場校が27日に発表される。

センバツ企画「センバツも密なので」では、3校選出される21世紀枠候補の石橋(栃木)に注目。秋季大会直前には新型コロナウイルスの集団感染に見舞われながらも、県大会4強入りを果たした。アクシデントを乗り越えた不屈のナインが、初の吉報を待つ。

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石橋のグラウンドは右翼60メートル、左翼90メートルと小さく、サッカー部、ハンドボール部、陸上部との共用だ。平日の練習時間は2時間。内野にしか照明がつかず、日が落ちると守備練習はできない。飛びすぎないようにとテニスボールで打撃練習をすることも。不利な境遇に思えるが、横松誠也(ともや)主将(2年)は「土日しかボールは使えない。それでも少ない時間で集中してやるしかない」と、前を向いて練習に打ち込む。

秋の県大会では、予期せぬアクシデントに見舞われていた。大会直前の新型コロナ禍で、計10人のメンバーを変更。主軸を担う横松主将はその一人だった。「かかってしまったのが最初で申し訳ない気持ちが大きかった」。1回戦の1週間前に罹患(りかん)。復帰後も右膝のけがの影響で、三塁コーチとして貢献することしか出来なかった。

チーム最大のピンチでも、ナインは後ろ向きにはならなかった。初めて試合に出る選手たちが奮闘。3回戦まで毎試合2桁得点で2失点以下に封じ、3試合連続コールド、2試合完封勝利で4強に進出した。福田監督は「試合をやれただけでも良かった。その中でベスト4はよく頑張ったと思う」と目を細めた。

21世紀枠候補となり、地元の人たちからは「おめでとう、頑張って」と声をかけられる。横松主将は感謝しながらも「特別なことは出来ないからいつも通りやろう」と仲間に呼びかけている。運命の日が近づこうが、関係ない。不屈のナインはいつも通り前向きに汗を流しながら、歓喜の瞬間を待つ。【星夏穂】