小樽双葉が北照との接戦を5-4で制し、4年ぶり3度目の全道大会出場を決めた。振り込んできた成果が勝負どころで発揮された。3-3の8回。2安打1四球で2死満塁の絶好機をつくり、1番増井海音遊撃手(3年)に打席が回った。「ここはもう打つしかない。絶対にランナーをかえそうと思った」。真ん中付近の直球を振り抜き、右前に勝ち越しの2点適時打。1点こそ返されたが逃げ切り、地区代表権を手にした。

昨秋の地区初戦(2回戦)で北照に1-8の8回コールド負けを喫した。相手のエース右腕上川貴之投手(3年)に対し、6安打を放ったがわずか1得点に終わった。増井は「冬の振り込みで常に上川君を意識してやってきた」。チームは140キロ近い速球と、低めに落ちる変化球をイメージしながらバットを振ってきた。

冬場は主に体育館での練習となり、硬式球を打てる時間は少なく、工夫しながら打撃練習に取り組んだ。バドミントン用の羽根と、蛍光色で室内練習向けの軽量穴あきボールを使用。10~15メートルほどと近めの距離から羽根とボールをランダムに投じ、緩く曲がる羽根を変化球、ボールを直球に見立ててバットの芯でとらえることを意識してきた。

前監督の長谷川倫樹部長(40)が「羽根打ちカラーボール打線」と命名した地道な鍛練を積んだ打撃陣が成果を発揮。この日、上川から1回に2点を先制するなど10安打をマーク。増井は「結果が出てよかった」とほおをゆるめた。

武修館を14年夏甲子園に導いた小林正人監督(35)のもと、19年以来の春全道切符を手にした。小林監督は「選手がよく頑張ってくれたことと、部長、コーチ、みなさんのおかげ。万全な準備をして勝ちにいきたい」と、全道舞台に意気込む。春の全道は、4年前に優勝した駒大苫小牧に1回戦で惜敗するなど未勝利。次に狙うのは16年秋以来の道大会勝利だ。【山崎純一】