「医者とプロ」の両方を志す注目右腕の高田・中山勝暁投手(3年)が初戦で散った。V3を狙う三重の強力打線につかまり、7失点と崩れた。

試合後にはプロ志望を明言した。

「(志望届を)出します。より高いレベルでやってみたい。練習で150キロを出した時に、最終的に決めました。秋まではプロを目指しながら、勉強もおろそかにせず過ごして、指名がなければ大学を受けます」

大器の片りんは見せた。初回に1点を先制。その裏、中山は140キロ台中盤の速球とスライダーで圧倒して3者凡退。優勝候補を相手に番狂わせの雰囲気を漂わせた。

だが2回に失策がらみで逆転を許すと、その後も甘く入った球をとらえられ、失点を重ねた。不運な当たりも多かった。「打たれたのは失投。それより、あんな打球によく追いつくなと。みんな、自分にはできないことをやってくれている」と仲間をかばった。

球場表示の最速は146キロだった。6回以降は無失点。最後は足がつったが、8回まで投げ切った。

球場には全12球団のスカウトがそろい、熱投を見守った。ドラフト指名を受ける可能性は十分にある。一方で、中山にはプロ野球と同じくらい譲れない夢がある。祖父の姿を見て、幼少期からあこがれる医師の道だ。進学校で上位の成績を残し、希望する国立大医学部の合格ラインをキープしている。文武両道を地でいく高校生活を送ってきた。

「充実した2年半でした。高田だったからここまで成長できた。仲間にも会えて、このチームでやれてよかったです」。そう話した時に声が震えた。

今秋のドラフト会議でどういう運命をたどるのか。異色のスーパー二刀流の未来が注目される。【柏原誠】