第105回全国高校野球選手権奈良大会の開会式が8日、橿原市の佐藤薬品スタジアムで行われ、40校35チームの選手が4年ぶりに入場行進に集結した。選手宣誓は青翔、関西中央、二階堂、奈良南の合同Cチームの主将で、関西中央の杉田悠真外野手(3年)が務めた。

「さまざまな制限の中でこの仲間と出会えたことが奇跡であり、人生においての一生の財産だと確信しています。高校球児らしい泥くさいプレーで、見ている人に感動を与え、どんな状況でも諦めない姿勢で最後まで戦い抜き、全力の夏にすることを誓います」(一部抜粋)

杉田は関西中央の「最後の夏」に大役を務めた。同校は22年度から生徒募集を停止し、現在は3年生のみが在籍。すでに休校が決まっている中、野球部はマネジャーを含めた5人で活動を続け、今夏は合同チームとして出場する。同校への思いのこもった杉田の宣誓に会場は拍手喝采となった。

宣誓の言葉は部員が1人1つずつ考え、言葉を合わせて決定した。昨日7日には全校生徒の前で披露し、同級生から「すごいな」と言葉をもらい、満を持して本番を迎えた。「緊張したけど、自分の気持ちを伝えようと思って1つ1つの言葉をはっきり言うことを意識しました。自分でも100点をつけたいと思います」と白い歯をこぼした。

同チームは16日に高田との初戦を迎える。「合同チームでやらせてもらえることに感謝の気持ちでいっぱいです。関わってくださった方々への感謝の気持ちをプレーで表現したい」。関西中央の誇りを胸に、最高の仲間と1日でも長い夏にする。

 

以下は宣誓全文

宣誓。今、私たちはここに立てる喜び、試合ができる喜びをかみ締めています。さまざまな制限の中でこの仲間と出会えたことが奇跡であり、人生においての一生の財産だと確信しています。私が在籍する関西中央高校は今年をもって休校となります。古く、長い歴史、卒業された先輩方の思いを背負い、プレーできる誇りを胸に正々堂々、最後まで関中(かんちゅう)魂を貫きます。私たちに今できることは、家族、指導者の方々、そして関わっていただいた全ての方への感謝の気持ちをプレーで表現することです。高校球児らしい泥くさいプレーで、見ている人に感動を与え、どんな状況でも諦めない姿勢で最後まで戦い抜き、全力の夏にすることを誓います。令和5年7月8日選手代表関西中央高校野球部主将、杉田悠真。