83年、16年と夏の甲子園に2度出場している市尼崎が、武庫荘総合に粘り勝ちした。

タイブレークの10回に1点を勝ち越し、その裏を松江俊希投手(3年)がしのいだ。最後の打者にはインコースに3球連続ストレートで三振。「最後は思い通りにいって良かった」。10回134球を1人で投げ抜き、ガッツポーズでチームメートに駆け寄って勝利を喜んだ。

初回に1点を先制した直後に4点を奪われたが、6回に6-4と逆転。9回に2点差を追い付かれ、タイブレークの末に初戦を突破した。

接戦をモノにできたのは、22年4月に就任した椎江(しいえ)博監督(61)が大事にし、松江が「そのままチームテーマになっている」と話す「執念」によるものだった。「勝負事の最後の最後は、執念がものをいう。どっちが本気で勝ちたいか」。これまでに指導してきた尽誠学園(香川)や大院大高(大阪)でも大切にしてきた考えは、市尼崎にも着実に浸透していた。

加えて、大会前に育んできた自主性も、この勝利に欠かせない要素となった。「6月入ってからは、練習メニューを自分たちで決めさせています。6月に追い込むこともよくありますけど、それは指導者のエゴや自己満足。自分たちに足らんことを自分たちで見つけて、とことんやっていこうとやっています」。椎江監督の意向は選手に伝わり、松江も「全員が自分の大事なところ、足りないところに取り組んできました」。

成果は、バッティングで現れた。昨秋の県大会は優勝した報徳学園に3回戦で2-4の惜敗。そこで足りないと感じた打撃力を、それぞれが自主練習で上積みしてきた。「全国を見据えて戦うなら、最低7点取らないと無理やで」。練習試合から指揮官に求められてきたテーマだ。夏初戦はその7点目が決勝点になった。

執念と自主性による成長を実感する市尼崎は、秋に敗れた報徳学園へのリベンジを目指して戦い続ける。【永田淳】

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